強い家という誤解

強い家

消費者が強い家を求める気持ちが強いため、提供する側も「強い家」という謳い文句で商品を押し出そうとする。

自社の製品が強いから強い家を謳い文句にしているのではなく、消費者が強い家を求めるから強い家だと謳っているのです。

CM自体が消費者のニーズに合わせて作られているわけです。

 

ちょっと周りクドイ言い方になってしまったが、自信のある強い商品ができたからアピールしようとしているのではなくて、日本に地震が来て強い家を消費者が求める気持ちが強いから強い家だと言っているわけです。

アピールを消費者に提供してくれているわけです。

 

これはどこの業界も同じだと思います。

よく切れる包丁やこびり付かないフライパンに、主婦は熱い購買意欲を注ぎます。

テレビショッピングでそれを謳うと、ビックリするぐらいの販売数を捌きます。

で、結局どうだったかというと、最初は切れ味が良かったり、最初はこびり付かないという感じじゃないんでしょうか。

 

よく切れる包丁を買っても砥石を持っていない主婦は、再びよく切れる包丁を求めて購入しようとします。

こびりつかないフライパンがこびり付いてしまい、主婦は再び別のメーカーでこびり付かないフライパンを購入しようとします。

終わりがないんです。

それでも売れ続けるという不思議は、それを求めている人がいるから。

求めている人に求めているフレーズをつけて売れば売れるのです。

 

大手ハウスメーカーなどの漠然とした内容のCMを見て、この家は強いと思い込んでしまう人はとても多い。

こういう消費者は、フレーズを購入しようとしているわけです。

自分が強い家ではなく、強い家という謳い文句を購入しようとしているわけです。

 

そしてそのフレーズだけの思い込みで、大きな地震が来た時家に守ってもらおうという考えを招いてしまうのです。

「強い、強い」という謳い文句の、危険さと無責任さを感じるのです。

家の性質や特性を自分で理解する努力をしてほしい

よく切れる包丁を追い求める主婦にとって、よく切れる包丁は魅力的でしょう。

しかし、テレビでよく見る寿司職人やプロの料理人の包丁が、どうして切れ味鋭くずっと使い続けているのか、それを不思議に思わなくてはいけません。

毎日、包丁を研いでいるからです。

 

よく切れる包丁って、日本にはたくさんあるんです。

よく切れる包丁は通販で取り寄せなくても、身近な店舗にいくらでも売っているんです。

包丁の取り扱いや包丁の性質を理解していないから、よく切れる包丁ばかり欲しがるのです。

 

謳い文句だけを頼りに物の購入を決めてしまう人は多い。

包丁程度なら、何度でも買い続ければいいだろう。

しかし、家は何度も買えるのか?

買えないだろう。

一番謳い文句やイメージだけ信じ込んで買ってはいけないものだ。

 

建設業界にいると各メーカーの特性を少しは知っている。

暖かさをアピールしているメーカーは、寒い家で有名なメーカーだった。

強い家を打ち出しているメーカーは、阪神大震災でもろくも崩れたメーカーだ。

そのためCMで打ち出しているのは、過去の自分の汚名を払拭しようとジタバタしてアピールが強くなっているだけ。

現実は、所詮そんな家を作っていたメーカーというレベルだ。

ハウスメーカーのCMは浅はか

熊本地震の後、いくつかのハウスメーカーが新しいCMを流した。

これに浅はかな部分があった事に気付いただろうか?

 

総2階建てが揺れ疲れでペッチャンコに潰れた地震の後に、総3階建てをCMで流し始めた。

終いにはそれを揺らしてこれ見よがしに、強いですよアピール開始。

その後そのCMの特別バージョンを見た時、このハウスメーカーアホちゃうかと思ったのだ。

何度揺れても大丈夫というその震度が6。

震度6なんて今の日本の大地震レベルに足りていない。

震度7で潰れると言っているに等しい。

 

しかも熊本地震で問題になっているのは、「地盤」の問題が一番大きい。

この地盤に対して、何か打ち出してきたメーカーは1社もない。

地盤専門業者のCMは流れていたが、ハウスメーカーこそそれに対応しているとアピールしろよと思ってしまうのだ。

それが流れていないメーカーは、地盤調査をする業者との連携がないと思えてしまう。

そもそも、今まで地盤なんか無視してやってきているのに、強い家だけのフレーズで乗り切ろうとまだするか。

 

地盤調査を標準に組み込んでしまうと、家を購入する金額はバカ高くなる。

無理に標準仕様に組み込む必要はないだろう。

しかし、今まで地盤調査会社と連携している住宅メーカーは見た事ない。

地盤なんか調べずに家を建ててきたのだから、地盤調査を消費者が選択できるように選択肢として地盤調査業者と連携くらいはしておけ。

消費者も信頼しているところがおかしい

営業マンの人の良さで家の強さが分かるのか?

ヘコヘコしてくれる会社の家は強いのか?

値段が高ければ、その家は強いのか?

CMを流している会社の家は強いのか?

 

消費者が建設業をランク付けしているポイントは、こればっかり。

これは全部、家の構造に関係無い事ばかりだ。

 

前に揺れ疲れについて自分なりにどういう理由で起きた現象なのかを書いた記事がある。

この記事を大手有名サイトが引用して掲載してくれてた。

かなりの大きなサイトのため、どれだけの人が見たのか閲覧数を見てみると、誰も興味を示していないのが分かった。

私が揺れ疲れを記事にしたのは、素人である消費者に理解させるために、分かりやすく解説したつもりだった。

 

家の構造を物理的に理解出来れば、ハウスメーカーの打ち出してくる地震対策を考慮するための参考になるかもと思ったのだ。

そんな事説明されてもそれはプロがするべき事でしょ、という感覚なのかも知れない。

そんな感覚を建設業界に押し付けていくと、お客様仕様の家が出来てしまうのだ。

お客様仕様の家とは、素人仕様の家だ。

 

プロより言い分が通る権力を持つ人間は、金を払う側の客だ。

家というものは、いくらプロが手掛けても、客の要望の方が強いのだ。

客が強く言えば、それがまかり通ってしまうのだ。

金を払う側の消費者が、一番の権力者だという事を知っておくべきだ。

その権力を知識のないまま振り回す危うさは度々見てきた。

自分の思い描く家を建てられないような奴はプロじゃないという人は多い。

素人の思い描くような家を建てないのがプロだ。

コメントを残す